働き者ブログ

気を抜くとすぐサボってしまう自分に自戒の念を込めて・・・

目の見えない人にどうやって象の姿を伝えるか

f:id:tenfold:20140223172532j:plain

Photo by .Martin.

 

はじめに

はてブで人気を集めていた携帯カメラで3Dモデリングできる技術の記事を読み、「すげぇぇeee!」と思うと同時に、少し前のYahoo!「さわれる検索」サービスの試みが思い出されたので紹介したいと思う。 

 

去年あたりから3Dプリンタは各方面でいろいろ話題になっていた。しかし僕にはその良さがイマイチ分かっていなかった。「3Dの造形が樹脂やら金属やらで出力される」…でも、それがどういう効用を持つかが実感が湧かなかったのだ。

ただ、この動画を見て「おおー、なるほどこういう使い方もあるんか!」と心揺さぶられたので、まずはそちらご覧頂きたい。

 


さわれる検索 Yahoo! JAPAN - YouTube

 

直に”触れる”効用

 仕組みとしては、3Dのデータがインプットされておりそれが児童たちによって『検索』されると出力されるということのようだ。

盲目の子供たちが手に取ってその形状を掴める、というのはこれまでにない素晴らしい、新たな体験ではないだろうか。

普段、手に取って触れるものであれば、きっとお父さん、お母さんはなるべく直接触って理解させようと努力をすることだろう。ただ、世の中には実際触れないものの方が圧倒的に多い。それを触ってみておおよその形状を理解できるって、彼らにとっては今までにない画期的なインプットなんじゃないか?

 カタチあるものを理解する場合、目が見える人であればそれらをTVやネットから見て理解することができる。しかし目が見えないとなれば、実際に触る以外となると文字情報(点字)か話で直接聞く音声・言語からインプットし、頭の中でイマジネーションを膨らます、という作業だったはずだ。

果たして目が見えない子供たちに例えば象、キリンがどういう特徴を持った動物かをどうやって伝えよう。「象はね鼻が長くて、4本脚で歩く動物なのよ」「キリンっていうのはとても首が長いのよ」と言い聞かせ、どこまで正しい形状を理解してもらうことができるだろう。説明する側にも高度な技術が求められただろう。

それが「触れる」ことで形状を理解できる。「百聞は一見にしかず」改め「百聞は一触にしかず」、ずっとその理解が深まるはずだ。映像の中でスカイツリーのモデルに触る少女が「ええっこんなカタチなの!?」と感想を言っているのがとても印象的だった。本当にその通りなんだろう。「600mもある日本一高い塔ができたのよ」と聞かされていた時とは理解の度合いが随分違うはずだ。

 

3Dデータ集めについて

f:id:tenfold:20140224113559j:plain

Photo by Steve Jurvetson

3Dの造形を作る為にはその設計図となるデータが必要だ。ただ、Yahoo!このサービスを紹介するサイトを見ると、そこまで沢山の種類の3Dデータはまだ集まっていないようだ。データ募集を呼び掛けているのは主に企業。今はまだデータスキャンの技術も汎用性がないので、自ずとその対象が企業、法人になるのだろう。世の中のモノを網羅的に3Dデータ化しておくというのはもう少し時間がかかりそうだ。そこが一つの課題でもあるだろう。

そこで、冒頭に挙げたような技術で近い将来、”誰でも3Dモデリング情報をスキャンできる時代”になれば、多くの3D情報をデータ化してライブラリ化できるのではないだろうか。それにより、出力して手に触ってみることができるものが格段に増える。

今、デジカメで撮った写真をUPしたり、共有したりするのと同じ感覚で、今後は誰もが3Dモデルを容易にスキャンしたり検索したり、そして出力までができるようになるのかも知れない。そうすれば、これまで目の見えない人がどうしてもイメージしづらかった「形状の理解」のハードルはぐっと下がるだろう。

新しいテクノロジーによってハンディを持った人にも新たな恩恵をもたらす時代が来ると想像しら、ちょっとワクワクした気持ちになってしまった。

 

 

 

記事を読込中...