パ、パ、パクったんじゃないんです。知らなかっただけなんです。
【衝撃】大人気楽曲『ずっと』にパクリ疑惑浮上? オリジナル・ラブの『接吻』に酷似しているとの声続出 | ロケットニュース24
先日話題になったこのニュースを見て、ちょっと前にしでかした自分の失態を思い出した。
それはスマホのアプリを作りたいと考えている会社さんとの打ち合わせに参加した時のこと。まだアイディア出しの段階で、どういうものを作ればヒットするか、これまでになく世のニーズを満たすのはどんなものか、等の企画を出し合っていた。
私:「実は、コレコレこういうアイディア、前から温めてるんですけど、どうですかね?できたら面白くないですか?きっとウケると思うんですよね~」
相手の担当さん:「あ、そうそうそれね。前回も話したけどやりたいんですよねぇ~。」
次の瞬間、思い出し凍り付いた。
(うわ…ヤべぇぇぇ!!これ前回の打ち合わせでもこのアイディアの話題したんだった!!しかも今、「自分が作りたい」って言っちゃったけど、前回相手さんがこんなのどうかな?って言いだしてた企画だったじゃないかーーーーー!!!)
そう、前回からの打ち合わせから時間が1か月ほど空いてしまいスッカリ忘れていたのだが、自分が口にしたアイディアは相手の企業さんが温めていた企画だったのだ。あたかも自分が考え付いたアイディアの様にドヤ顔で話をしてしまったが、それは先方の考えていたものだったのだ。
うぉぉぉ、やべ~これは超絶恥ずかしい上、とてもずうずうしいぞ。
”どこでインプットがあったか”を忘れてしまい、アイディアの部分だけが記憶に残ってしまっていたのだ。脳内インデックスが整理されていなかった…!
「あれ、ゴメンナサイこれ御社が考えてたアイディアでしたっけ?うわーーすみません!」と平謝り。幸い、相手の担当者ともそこまでカチッとしたお堅い間柄ではないため、事なきを得たのだが、いやーこの時は生きた心地がしなかった。今思い出しても恥ずかしくて悶死しそう。
記憶力が年々衰えているというのは自覚があり、同じ話を同じ人にしてしまうがあることは自分でもわかっていた。だが、今回の場合は、情報の出どころに対し、同じ話をあたかも自分が発見したかのごとく持って行ってしまったのだ…。
仕事をしていて、本やTVからインプットした情報を自分の商売に当てはめ、応用できないかは、誰もが考えることだ。様々な刺激を取り込み取捨選択しながら、自分なりのアイディアに落とし込んでいく。この作業自体は全然悪いことではない。
だが、その作業を繰り返していれば、元の情報源がどこだったかをすべて正確に記憶しておくというのはなかなかに困難だ。
さて、こういうことを体験してしまうと、世の中のパクりと叩かれるものの中には”うっかりパクリ”もあるのじゃなかろうかと思えてくる。本人はまったく気づいていない無意識のパクりだ。
例えば、音楽で言えば「うおおお超絶良いメロディ思いついちゃったぜ!!!」と思ったものが、実はかつて色々聞きあさった曲の片りんを組み合わせたものだったり。
例えば自らの体験に基づき、やっとこたどり着いたと思っていた人生観や考え方が、実際はかつて読んだ本の一節の受け売りだったり。
パクリも悪意があって「ひひひ…こっそり流用してやれ」と知ってて使うのは宜しくない。だが、無意識のうちにやってしまった、という事も少なからずあるのではないか。
冒頭のニュースの人がどうだったかはよく分からない。故意にやったのであればそれは批判されるべきであろう。が、もしそれが今回の私のしでかした「忘却おじさん事故」の類であれば、どうかもうあまり叩かないでやってくれないか…。とも思うのだ。
影響力の大きな人であればあるほど「すみませ~ん、うっかりやっちゃいました。テヘ」とは言えないはずだ。だが、人間長く生きてれば、無意識下で行ってしまうミスというものは存在すると思うのだ。
自らの衰えを知り、世の中にも優しくなる、もとい、ならざるを得ないおじさんであった。
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