「えっ!?いいんですか??」~会社側が導入する”副業のススメ”~
友人の会社の一風変わったルールとは?
友人のやっている会社が、ユニークなルールを作っているので紹介します。
それは「副業のススメ」です。その友人の会社はwebやグラフィックの制作をやっている会社なのですが、代表である彼は従業員たちに「会社の本業以外に副業をしろ!」と強く言うらしいのです。副業は禁止!という会社が多い中、とても興味深いルールですね。
どういうことかを彼に聞くと、「制作の仕事なんて技術力を磨いてなんぼ。会社から貰える給料だけで甘んじていてはダメ。外の人と交わってそこで案件を取る。自力で仕事を手に入れてもうひと稼ぎするぐらいの甲斐性が必要なんだ!」という事らしいです。
なんとも、これはこれで理に適っている気がします。彼は僕と同い年なのですが、最近めっきり昭和のおやじの風情になっており、この「甲斐性」なんていう言葉からもその臭いがしてきますが、ルール自体は悪くなさそうです。そして会社自体の業績も上々の様なのです。
では、一般的に副業を禁止している会社はどういう思惑があってそのルールを敷いているのでしょうか?パッと考えて思いつくのは、
・技術や情報を漏えいしてしまう。
・本業がおろそかになる。パフォーマンスが下がる。
・会社外の世界が魅力的なったら転職を考えられてしまう。
・従業員の帰属意識が下がる。
・副業がバレることで会社のイメージを損ねる可能性がある。
・そもそも副業なんてしている暇があったら自社の事業の勉強をしろ
とか、こんな感じでしょうか。
会社側が考える副業の”悪”
一つずつ見ていきましょう。
・技術や情報を漏えいしてしまう。
これは個人情報や機密情報を持ち出すとかは犯罪になってしまうので当然NGですが、それ以外に会社で得た技術を外では使っては行けない、と縛るのは会社側の勝手なルールなようにも見えます。従業員が会社の環境を使いつつも色々と試行錯誤して体得した技術や知見は、他の興味あるところに転用しても問題はないのではないでしょうか。自社の技術を競合他社へこっそり売り込むといった背任行為だったり、自社の営業に明らかな損失を与える、などでない限りは得た知識はどんどん使うべきだと思います。
・本業がおろそかになる。パフォーマンスが下がる。
これはどうでしょう?考え方にもよると思いますが、オンとオフを切り分けオフの時は自分の好きなことに没頭できれば、オンでも良い仕事ができる、という見方もできます。仮に副業がものすごく楽しくて、そこで良いリフレッシュできるのであればむしろ本業にも良い効果をもたらす、とも言えないでしょうか。
・会社外の世界が魅力的なったら転職を考えられてしまう。
確かに会社以外の世界を見ることで面白そうなものを見つけてしまったり、新たな居場所を発見されたら、その従業員が会社を去ってしまう、という心配はあるでしょう。しかし、それは自分の会社に十分な魅力がない事を知ってしまっているからこそ、ルールによって抑止をするのかもしれません。
たとえ外の世界で魅力的なことがあっても自社の仕事内容や待遇に満足していれば、そう簡単に転職をすることはないかと思います。そもそも人の気持ちなんて移り変わるものなので、副業を禁止することでそれに歯止めがかけられる、という考えは少々近視眼的なのではないでしょうか。
・従業員の帰属意識が下がる。
うーんこれも、あまりも副業禁止による意味があるとは思えないですね。その会社に帰属してることで、十分な”誇り”が持てるような組織であれば、副業云々は関係ないでしょう。むしろ副業で意識が下がるぐらいなら、元から大した帰属意識を持てるような組織ではなかった、と。
・副業がバレることで会社のイメージを損ねる可能性がある。
これはあるかも知れませんね。例えば、お堅いイメージの仕事の人が、土日や夜にいかがわしい商売をして、それが有名になる、など。会社がそれまでに築いたイメージを損なうのを嫌うのというのは当然ですね。ただ、これも副業以外だったとしたら従業員が業務時間外に何をするか、までは縛れないはずです。そしてそこで何をするかは、お互いの信義則のもとで、会社と従業員は契約をしているのです。副業を禁止する、と言う大きなくくりで縛らなくてもよさそうです。
・そもそも副業なんてしている暇があったら自社の事業の勉強をしろ
これも一理ありますね。本業の方でまったくうだつの上がらない社員が、5時に退勤したらウッキウキで副業してた、なんていったら上司は「コラ。君はなにをやっているのかね」と言いたくなります。なので前提としては「本業を十分にまっとうしている場合に限る」という注釈がついてきそうです。その”十分なまっとう”という線引きが難しそうですが。
では会社側に副業させる恩恵はないのか?
会社側からみた副業の恩恵で言えば、
「副業で得た出会いから、新たな顧客や案件を引っ張ってきてくれるかもしれない」
「業務以外の案件で従業員が成長する機会が得られる」
「自社に新しい風が入る。外から新しい技術を得られる。」
などでしょうか。友人の社長が期待するところもこんな感じですよね。ただ、これだけだと、直接会社の利益に繋がる可能性が計りづらいので、「(何となくもろもろ問題もありそうだし、とりあえず)副業は禁止だー!」としている会社も、実は多いのかも知れません。
まとめ
”副業”というとそもそも言葉自体に「何やらコッソリやる」みたいな後ろ暗いイメージがありますよね。ただ、冒頭の友人の様に賢く使えば相互にメリットはありそうです。会社も単純に縛るだけでなくその効果を十分検証できれば導入を考えても良いのかも知れません。あとは業種によって相性の良し悪しもあるかと思うので、もし始める場合はそれも慎重に検討した方がよいでしょうね。(警察とか教師とか公務員の副業とかは世の中も許してくれなそう。そもそも法律でできないのかな?)
いずれにしても会社と従業員の間にきちんと信頼関係ができていれば、「副業=悪」ということにはならなそうです。会社員として働いていても一生安泰でない時代なので、従業員は会社に居ながらも幅広く外の世界とも繋がって置いた方が良いでしょう。会社は会社で、本当に従業員の事を考えるのであれば、外に向くエネルギーを抑止するのでなく「副業をもうまいこと利用する」ぐらいの気持ちで挑戦してみたら、案外いろいろとうまくいくのではないでしょうか?
記事を読込中...